GALLERY&CAFE SOQSO

EXHIBITION

Q-LINK

2022.12.10-18

Q-LINK  『FILL U_ 』

会期:2022年12月10日(土)〜18日(日) 
定休日:火、水曜日
時間:11:00〜18:00

Profile
東京出身。
16歳でブレイクダンスに出会う。
ラジカセから流れるブレイクビーツに興味を持ち、サンプリングという手法に惹かれヒップホップ文化にのめり込み、18歳でAKAIのMPCを手に入れ、曲作りを覚える。
サンプリングに似たコラージュアートも同時期に覚え、今はジャンルに縛られることなく音もコラージュも一つの表現とし、発信し続ける。

主な経歴
2013年 メキシコのレーベルWOSの企画によりコンピレーションアルバムのVol.4,Vol.6にQuiet Core名義で参加。
後にQ-linkとして名義を統一し、活動。
2022年1月 スペインのフエルテベントゥーラ島で開催される国際現代美術館「”I” THE WORLD REVOLVES AROUND ME」にQ-LINKとしてコラージュ作品で参加。
他にインスタグラムを通し、声を掛けていただいた方々のCDジャケットや海外に向け原画の販売などを行う。

https://www.instagram.com/q.link/
https://www.youtube.com/channel/UCMncLKz205D2awPyf5R-wXw

INTERVIEW

コラージュアーティストQ-LINKを解き明かす9のクエスチョン「FILL U _ 」開催インタビュー

 2021年頃からインスタグラム(@q.link)で作品の発表をはじめ、現在2万3千人以上のフォロワーを持つアーティストQ-LINK。映画やファッションなどポップカルチャーを切り取り再構成したシュールレアリスティックなコラージュが国や文化を超え支持されています。キャリア初となる個展「FILL U _」(2022年12月10~18日)の開催にあたって、9つのクエスチョンでQ-LINKを紐解きます。
Interview & Text / Tetsutoku Morita

 

Q1_出身

東京です。生まれてすぐ埼玉に引っ越してそれからは、さいたま市の隣の鶴瀬に住んでました。小さい頃、母親と占いに行って「この子は何か芸術的なことをするから続けさせた方がいい」と言われて。それがきっかけかどうかかはわからないんですが、色々やらせてくれていたように思います。

 

Q2_表現のルーツ

16歳の時、近くの公園でブレイクダンスをやってる人がいて、ラジカセから流れてるブレイクビーツがすごくかっこよかったんですよ。歳も近かったし、友達になって色々教えてもらいました。そこから機材を手に入れて、10代はずっとDJに没頭してましたね。サンプラーを使ってHIPHOPの曲作りを覚えたら、音楽でやっていきたい気持ちが強くなって、友達のMCに提供したりしてました。遊びですけど、楽しかったですね。

Q3_コラージュのはじまり

高校卒業の年頃になると、みんなそれぞれの現実に向かっていきますよね。就職したり結婚したり。それで色々教えてくれてた先輩とオレだけが残って、諦めたくないって気持ちで20代になっても続けてました。池袋のBEDってHIPHOPのクラブでイベントをやったりしてたんですが、事情があって先輩とも分かれ、引きこもるようになって。それからは一人で音楽を作りFacebookに乗せてたんですが、あんまり聴きいてもらえなかったんですよ。で、何か良いアイデアはないかなと考えて写真を撮って音楽と一緒にアップしてみたんです。でもそれだけじゃインパクトが弱い。そんな時、コラージュに出会って。レコードとかCDジャケットの感覚で作ってみたら、意外とそれが人気になったんです。なので、元々コラージュは音楽を聴いてもらうためにはじめたものなんです。

 

Q4_音楽とコラージュ

音楽は「Quiet Core」っ名前でやっていて、Facebookを見て連絡をくれたメキシコの「WOS」ってレーベルのコンピレーションにも収録されました。ブックレットにコラージュも載せてくれて、その時「あ、コラージュいけるのかな」と思いました。

「Quiet Core」で作った2曲を使ってもらって、オレの中で音楽は一区切りついたんです。その後Instagramを知って、インスタはあんまり音楽がアップできないからコラージュがメインになって今に至ります。

コラージュは自分の中では音楽を作るより簡単なんです。1個にそんな時間がかからない。30分あればできる。コラージュはその時の気持ちや感情を出しやすいんですが、曲作りになるとこだわってしまってなかなか進まない。自分の気持ちを100%素直に表現できるのがコラージュですね。

音楽とコラージュの共通点はサンプリングです。レコード聞いて良いなと思った部分を切り貼りして曲を作るHIOHOPの手法がすごく好きで。昔の曲を自分なりに解釈して新しく作り直すのが面白く音楽にはまったのもそれが理由だったんです。コラージュも同じで、本を開いて、良いなと思ったところを切り取って組み合わせてくっていう。それを考えずに自然にやってるって感覚ですね。

Q5_コラージュと心はリンクする

そうかもしれないですね。オレはコンプレックスとかはないんですが、音楽をやりたかった気持ちは強くて、それが出てんのかなとは思います。曲を聞いてもらうためにはじめたんですが、言っちゃえばそれは自分の中では逃げ道でした。音楽が作り続けられず年を取り、生活もしていかないといけない。でも諦めるのは嫌で、表現していきたいという気持ちがある。そんな時コラージュと出会って、音楽より簡単に出来たんですね。その背景には、もしかすると心の整理という意味合いもあったのかもしれません。埼玉時代、朝霞の人たちと一緒にやっていた時のことは今も覚えていて、当時のオレにはそれしかなく、やめて行った人たちの分まで絶対やってやるよというのがあったし、今もそれを引きずってるのかと思います。

 

Q6_作り方

映画のパンフレットだったりファッション誌だったり。あとは昔の人体模型が載ってる本とか、なんでも使います。昔は家にあるもので作ってたんですが、最近は意識して集めてます。レコード探すような感覚ですね。今、住んでるのが奈良の吉野で、近くに本屋がないからネットでまとめて買ったりもしています。

素材は手でちぎることが多いです。偶然生まれる余白の部分が好きで。パーツの輪郭をはっきり出したい時はハサミで切ります。

考えてないと言っても作るからには自分なりのルールを持っておきたくて、人を使うことを意識してますね。全体というよりは身体のパーツ。口を強調したり目をいじったり、特に手が好きですね。

気をつけているのは宗教関係のアイコンです。自分の場合は顔を潰すのこと多いので、わかってくれる人なら良いんですが、間違って伝わってしまうこともあるし、インスタは世界に配信されるので注意しています。

 

Q7_意味

インスタを見ていると、世界観をすべて作っているコラージュが多いように思います。絵画みたいに背景があって一枚で「こうですよ!」みたいな。オレはそういうのじゃなくて、見てもらった人に「なにこれ?」と思ってほしい。シュールだなーみたいなの感覚を、自分の味にしていきたいんですね。

だから一つ一つのコラージュに意味はないんです。作りたいって衝動をぶつけ、完成したらスッキリする感じで、自分の中では終わっています。そこに意図はないから、見てくれた人の自由な感想で、作品をまた次のステージへ連れて行ってもらえたらと思ってます。

音楽をやってる時から歌詞がある曲ってそんなに好きじゃなかったんです。押し付ける気持ちで作ってるわけではないと思うんだけど、意味が決まっちゃう感じがして。歌詞がないインストの曲を好んで聴いててたんですね。コラージュも、リスナーがそれを耳にした時はじめて作品の意味が広がっていくような、感染していくイメージで作れたらなというのはあります。もしかしたら、そういう感覚がインスタでも受けたのかもしれません。

 

Q8_アーティスト

常にアーティストになりたいと思ってます。生き様をアートにしたくて。生活が作品に出るっていうのを信じているんですよね。インスタで好んでみてもらっているのも、こいつギリギリだなーみたいなところが伝わってるからじゃないかなと思ってます(笑)

オレはアーティストになりたいだけなので、その軸をブラさないために、仕事も他に持っています。もしコラージュを本職にして、依頼されたものを作らないと明日の飯が食えないってなっちゃうと、自分の作りたいものがなくなってくると思っていて。DJもそうですよね。オーナーが「こう言う曲はやめろ」と言われたら流せない。どうすれば自由になれるかを考えた時、お金が絡んじゃうと自分の場合は難しいんです。

そういった仕事も何回かやったことはあって勉強になるんですが、やっぱりオレはアーティストとして自由に作っていきたいと思って。もちろん人の求めるのものを形にできる人はすごい思っています。オレはそこまで頭まわらないんですよ。自分の作品に対してどういう立ち位置でいようかって散々考えた結果がこれなんです。思い切りワガママでいられるアーティストになろう、それで作ったQ-LINKだった。だからそこは今後もずらしたくないなと思ってます。

Q9_個展『FILL U _』

「FILL」は埋め尽くすって言う意味で、アンダーラインは重要な言葉の下にひきますよね? それを見てもらう人に決めてもらいたいので、アンダーラインの上は空白にしています。

吉野で木工作家をされてる方に額の製作を依頼して、そこにコラージュを入れて25点位を展示しようと思っています。今回は一緒にグッズも作るので、ギャラリーを埋め尽くせたら。

元版を家から出したことがなかったのでこういう形で販売するのは初めてです。今まで外でやってきてないので、生で見てもらえるのは嬉しいですね。インスタだと伝わりにくい、紙の立体感とか質感とかを感じてもらえたら、もう少し魅力が出てくるのかなと思います。

どういう方が来てくださるかわからないんですが、作品を見て「自分にもできんじゃね?」て思ってもらいたいです。自信を持つキッカケになれば良いですね。オレはそれがすごく大切だと考えていて。自分がアーティストとしてガンガンやっていくよりも、作品が誰かの助けになるほうが嬉しいんです。自分自身、家庭環境も色々ある中で育ってきて、時間がかかっちゃって今は38になりますけど、やっぱりアートに救われたし。コラージュはもちろん、音楽も、写真も。だから足を運んでくれた人が「あたしにはこれ無理だ」っていうんじゃなく、何かを始めるきっかけになれば最高です。

今もコラージュに助けられていて、経済的な恩恵はないですが、明日、明後日と一日一日をこなす理由になっている。埼玉でやってた時も、これからも、自分が生きていく上でやっていくだけの話なんですよね。作品をみて、似た気持ちになってもらえたら良いですね。

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